第10回 有限会社晦庵 河道屋 植田健社長 vol.3
――植田社長は商社に勤めていたとうかがったのですが?
はい。私は同志社大学を卒業して、東京の商社に就職しました。
私が東京へ行くのと入れかわるようにして、東京の蕎麦屋で働いていた兄が京都に戻りました。
私は商社で働いていたのですが、結局3年で京都に呼び戻され、
父の右腕だった大番頭に蕎麦の打ち方を習いました。
私はよその蕎麦屋に修行にいかなかったので、河道屋の蕎麦しか知りません。
そういう意味では頑固です。食の嗜好が多様化している現在では、
私のように古いものばかりに固執していてはいけないのですが、
逆に流行りに流されてはいけないと思っています。
――観光客も多いんですね。
そうですね。昔から馴染みのお客さまももちろん大事なのですが、
わざわざ調べて食べに来てくれる観光客の方はありがたいですね。
京都は町にリピーターが付いているので、
修学旅行で当店の蕎麦を食べていただいた方が、また観光で来てくれたり、
新婚旅行で来てくれたカップルが、何年も経って、
また銀婚式で京都を訪れた際に食べに来てくれます。
この頃は海外の方も多いですね。特に欧州からの方が多いように思われます。
やはり欧州の方は京都の文化や歴史に深い興味を持っていただいているのでしょうか。
この九月には、昭和40年頃に建てた新館を改装します。
一階に厨房があって、二階に座敷の部屋があったのですが、その座敷を改装して椅子席にします。
ちょっと二階にあがって頂くのは手間なのですが、
ざっくり30人はいる座敷を、ゆったりと24人の椅子席にするので、
団塊の世代の方や年配の方にも、ゆっくり蕎麦を味わっていただきたいと思っています。
――最後になりましたが、魅力のある場所は京都にたくさんあると思うのですが、初めて京都を訪れる方を植田社長が案内する場合、どこに案内しますか?
ここという場所はありません。そのひとにあわせます。
何がみたいか?何に興味を持っているのか?それを聴いてからです。
何を求めているか分からないと案内することはできません。
「禅」に興味があるのか、「わびさび」に興味があるのか、
「お茶」に興味があるのか、「お花」に興味があるのか。
まず、どんなところに行きたいのか聴かないといけません。
この人はここ、この人やったらここ。みんな違うと思います。
みんな違っても、それに対応できるのが京都のよさだと思います。
――それでは、次ぎに紹介していただく土井社長はどんな方ですか?
私より年齢がひとまわりしたになるのですが、若くて仕事を熱心にやってはる社長さんです。
――今日は忙しいなか、本当にありがとうございました。
(2008年8月8日取材)
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有限会社晦庵河道屋
京都市中京区麩屋町通三条上ル
代表取締役 植田健
電話:(075)221-2525
FAX:(075)231-8507
HP:
http://www.kawamichiya.co.jp/soba/
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