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2009年10月13日

人と人との触れ合いが大切です。

第20回 株式会社綿善 代表取締役 小野善三 vol.2

人と人との触れ合いが大切です。

――アメリカからの留学生をアルバイトとして採用されていたそうですね?

はい。イギリスの代理店と提携を結んだのと同じ頃、
同志社大学に留学にきていたアメリカの女性をフロントスタッフとして採用しました。
それは英語を3年から5年も習っているにも関わらずまったく喋れない修学旅行生が
少しでも英語に触れる機会になれば、と思ったからです。

当時、京都に来る修学旅行生に向けて「外国人と喋ってみよう」しおりがありました。
京都には海外からの観光客が多く、修学旅行生が観光地などで、
外国のひとに声をかけて喋ってみようということです。

私は観光地などで偶然外国人と会うよりも旅館で喋る機会を作ればと思ったのです。
それが好評で、その女性が大学を卒業して帰国した後も、何年か続けて、留学生を雇っていました。
期間も最初は4月から6月と、9月から10月の修学旅行に合わせたものだったのを
年間を通して働いてもらうようになりました。

留学生がフロントに立っている様子をホームページにアップすると、
先のイギリスの代理店からの紹介もあり次第に海外からの宿泊客が増えてきました。

現在、海外からの宿泊客は殆ど欧米の方です。
中国や韓国などアジアの方は少なく1%くらいです。
2005年には1200人だったのが2006年には2400人、
その次が3600人、去年は5500人とこの5年で5倍くらいに増えています。

英語を話せるスタッフも増えました。
フロントスタッフの5名の内、3名はもう完全に任せることができます。
一番若い28歳のスタッフは入社当初英会話ができなかったのですが、
周囲がわかるくらいよく勉強し、今では英文でメールを送ることもできるようになりました。


――小野社長のプロフィールを教えてください。

高校を卒業した昭和45年は大阪で万博があった年でした。
大阪にはほとんど宿泊拠点がなかったため、
京都に泊まって万博へ行くひとが多く、夏もいっぱいでした。

その頃、父が病気で亡くなり、大学へは進学せずそのまま旅館を手伝っていたのですが、
万博おわって、10月の終わりくらいに、「大学行きたいんやったら行くか」といわれて、
京都産業大学に入学しました。

大学を卒業して3年、熱海の旅館に修行に出されました。
母か、祖父の知り合いの旅館だったのですが、
預かってやるから来いと、もう否応なしにです(笑)。
最初から3年と決まっていたので、早く行けば、早く帰ってこられるのではと考え、
4回生の後期試験が終わったら卒業式も出ずに熱海に向いました。
初めての休暇で京都に戻ったときに大学へ行き、
学生証とひきかえに卒業証書と卒業アルバムをもらったのを覚えています。
結局、熱海には3年半くらい居ました。

昭和53年の6月に京都に戻り、代表には昭和59年に就きました。
それまで木造の旅館だったのを今の建物に建て替えるタイミングに合わせての就任でした。
そのときに資本を増やし有限会社を株式会社にしました。

人と人との触れ合いが大切です。


――ホームページには創業当時からずっと受け継がれてきた言葉として「平穏 佳肴(かこう) 心地よし」とあげていますね。

はい。「平穏・佳肴・心地よし」を現代の言葉になおすと「安全・美味・快適」になります。
旅館業に限らず、どの商売でもいえるのですが、常連さん作りに徹しないといけないと思います。
また宿泊頂いた方が当社のセールスマンであると考えています。
京都に行ったけど、どこそこがよかった。あの旅館がよかった、
と宿泊された方に言っていただくようなおもてなしをしたいと思います。

海外の方だと「トリップアドバイザー」というサイトがあり、
いろいろな評価が一段階から五段階まであってランキングされます。
今、京都の旅館部門で8位なのですが、口コミ的にそのサイトを見て来てくれるひとも増えました。

お客さまが満足するのは当たり前のことです。
二度、三度と来てもらおうと思ったら感動してもらわないといけない。
そのためにどうすればいいのかということを常に考えています。
ホテルと違って旅館は人と人とのふれあいを大切にします。

客室係でもフロントでもお客さんと、ひと言ふた言しゃべりなさいと、いつも言っています。
ご案内した部屋に髪の毛が落ちてた。
「こんなん落ちてたで」と言われるのか、「どうしてくれんの」と言われるのか。
そこで「すいません」と謝って「まあええよ」と答えてもらえるのか。
やはり人と人との触れ合いが大切です。

「この旅館にはこういう仲居さんが居て、俺の名前をいってくれたら、ようしてくれる」と
紹介してもらえるような人間の触れ合いを中心にしていかないといけません。
ひとを大切にしたいですね。


■綿善旅館HP
■トリップアドバイザー

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Posted by 京の社長と数珠紐 at 12:00│Comments(0)株式会社綿善 小野善三
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