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Posted by 京つう運営事務局 at

2009年05月14日

歩くことで京都をより感じていただきたいですね。

第17回 株式会社井助商店 代表取締役 沖野俊之 vol.3



――沖野社長の経歴について教えてください。

私は京都の出身ではなく神戸で生まれ育ちました。
京都大学時代に井助商店の現在の会長の長女と知り合って付き合うようになりました。
就職は神戸に戻って住友金属さんに入社して、その時代に結婚しました。

妻には妹しか居なかったこともあって、私が30歳のときに、
井助商店を継がないかという話しがありました。
ゆくゆくはそういう話もあるのかな、程度には考えていたのですが、
その当時の私にとっては思いがけず急な話だったので、
1年位考えたのですが、会社を経営するということにも興味があったので、
31歳のときに井助商店に入社しました。


――老舗を継ぐというのはたいへんだったのでは?

はじめはやっぱり不安の方が大きかったですね。
入社当初、これまでの仕事とはまったく違う営業に対する不安もありました。
大学時代の友人はほとんどがサラリーマンをしていたので、
経営の立場で何かあったときに相談するひとが周りに居ませんでした。

また京都特有のことだと感じるのですが、やはり横の繋がりというのが強くて、
最初は入りづらいというか、入れるのかなという心配がありました。
それでも段々と堀社長のような同年代の方と知り合うようになって、
今ではとても居心地がよくなりました。


――最後になりましたが、魅力のある場所は京都にたくさんあると思うのですが、初めて京都を訪れる方を沖野社長が案内する場合、どこに案内しますか?

月並みですが、この前、久しぶりに金閣寺へ行ったのですが、やっぱりいいですよね。
金閣寺を含めた景色がすごくて圧倒されました。

あと私は桂の方に住んでいるので、嵐山の方もおすすめです。
せっかくなのでぜひ嵐山の奥の方まで散策して欲しいですね。
ずっと歩いて行くと竹やぶがあって、段々とひとの少ない鄙びた静かなところになり、
たいへん風情があります。

他にも清水寺から高台寺や祇園の方へ歩くのもいいですね。
四条通も烏丸から河原町にかけても少し北にあがると
最近できた新しい店が多くておもしろいですよね。

京都では観光名所を車で移動して慌しく廻るよりも、
ちょっと時間をかけてその周辺を歩くのが楽しいと思います。
歩くことで京都をより感じていただきたいですね。


――それでは、次ぎに紹介していただく林社長はどんな方ですか?

温厚で押し付けがましくない方です。Kyoohoo!?(キョフー)の会長をやっておられるのですが、
会員みんなの意見をちゃんと聞いてひとつのものを作り上げていくところがあって、
たいへん信頼できます。
私より少し年上なので、兄貴的なところもあり、
ネット通販にも積極的になので、よく情報交換をしています。


――今日は忙しいなか、本当にありがとうございました。
(2009年4月3日取材)

*********************************

株式会社井助商店
京都市下京区柳馬場通五条上る柏屋町344

代表取締役 沖野俊之

電話:(075)361-5281
FAX:(075)361-5285
HP:http://www.isuke.co.jp/







■株式会社井助商店 沖野俊之 【1】 >> 【2】 >> 【3】
  


Posted by 京の社長と数珠紐 at 12:00Comments(0)株式会社井助商店 沖野俊之

2009年05月13日

「漆黒」とは、独特の艶やかで濃い漆の黒

第17回 株式会社井助商店 代表取締役 沖野俊之 vol.2



――最近は海外のギフトショーにも参加されているそうですね。

はい。(財)京都産業21が主催する、
京都の中小企業が集まったKyoohoo!?(キョフー)という異業種交流会があるのですが、
そこの取り組みの1つとして、工芸関連の会社で
毎年ニューヨークの国際ギフトショーに出展しています。

あまり知られてはいないのですが、実は漆器のことを英語でジャパン(japan)と言います。
実際にはジャパニーズ・ラッカー・ウェアと説明することの方が多いのですが、
それだけ漆は日本に特有のものなのです。

ニューヨークのメトロポリタン美術館へ行くと
日本のコーナーには鎧甲や着物と並んで漆器が多く展示されていました。
木工製品に漆のようなものを塗る文化は欧米にはありません。
中国や東南アジアにあるくらいではないでしょうか。

今年のニューヨーク国際ギフトショーにあわせてKyoohoo!?(キョフー)と京都造形大のコラボレーションとしてサクラ柄の小箱や手鏡を製作しました。

学生さんにはニューヨークで出展するというのとは関係なく、本当に自分らが欲しいものをというコンセプトでデザインを依頼しました。パステル調のかわいい製品ができあがり非常に満足しています。但し、その製品は塗りに漆を使ったものではなく、化学塗料を使っています。

ニューヨークでも売れるものを、と考えているので流通コストも含めて考えると
漆を使うとどうしても高価になり過ぎてしまいます。
今回の企画に関しては最初から化学塗料を使うことを前提にしていました。

また漆でパステル調の色合いを出すことはできません。
漆は黒以外は顔料を混ぜて着色するのですが、
元々無色透明ではないので、淡い色合いは出ないのです。

漆の黒だけは、漆に鉄分を混ぜて「漆黒」と呼ばれる独特の艶やかで濃い黒を出すのです。


――京都の活性化について考えておられることはありますか?

ニューヨークへ行って感じたのですが、
私たちが考えているほどは京都は海外の方に知られていないのではと感じることがありました。
例えば、私もイギリスだとロンドン以外のことはよく知らないですし、
アメリカでも知っている都市の数は限られています。

もっと京都は海外に向けていろいろな情報を発信していくべきだと思います。
今でも海外からたくさんの方が観光に訪れていますが、
京都の持つ魅力の潜在能力を考えると、
もっと海外からの観光客を増やすことができるのではないでしょうか。

京都=日本と言うとおこがましいかも知れませんが、
京都が日本を代表する気持ちで海外に対してもっとアピールする必要はあると思います。


――井助商店の経営理念はどのようなものなのですか?

誠心誠意という言葉を大切にしています。

常に誰に対しても同じように誠意を持って対応するということですね。仕入れさんであっても、大きいお客さんも小さいお客さんも、また社員に対しても、きちんと気持ちを持って分け隔てなく接しないといけないと考えています。

当社は創業180年を超えて地方へ行くとすごい老舗のように言われますが、前回の堀金箔粉さんはまもなく創業300年ですし、京都では特に珍しいものではありません。

ただ100年200年と事業を続けるのは本当にたいへんなことです。
ITバブルの時期を経てみると余計に感じます。
流行に乗ることは大切なのですが、それだけではいけません。
長く続いているところでも、事件や事故があると会社を続けることができなくなってしまいます。


株式会社井助商店HP
財団法人 京都産業21HP
京都造形芸術大学HP

■株式会社井助商店 沖野俊之 【1】 >> 【2】 >> 【3】   


Posted by 京の社長と数珠紐 at 12:00Comments(0)株式会社井助商店 沖野俊之

2009年05月12日

漆はワインのように産出する地域によって特色があります

第17回 株式会社井助商店 代表取締役 沖野俊之 vol.1



堀金箔粉株式会社の堀社長から、「ほんとにユニークで明るくアイデアにあふれている方です。新しい取り組みにも積極的で京都文化もたいへん愛されています」と紹介をいただいた井助商店の沖野社長です。井助商店は江戸後期の創業、元々は漆器や工芸品に使う漆の製造・卸の会社です。近年は漆だけでなく漆器の販売も手がけています。


――江戸時代の後期に漆の精製・販売を生業として創業されたそうですね?

はい。江戸時代後期の創業です。文政年間(1818年~1829年)に、この地で創業しています。
漆の精製というのは、漆の木からとったそのままの樹液を濾過したり、水分を取り除いたりします。
また漆は自然のものなので、ワインのように漆を産出する地域によって特色があります。
粘度が高いとか乾きが早いとかの違いですね。
当然、年によっても微妙な違いがあるので、
それをどうブレンドするかが各漆屋さんのテクニックです。

漆は、乾くスピードや粘度によって、漆器の上塗りに向いているなど、それぞれ用途が違ってきます。
特に当社は金箔の下に塗る箔下漆が好評頂いています。

他にも漆の代替品としてカシュー塗料・ウレタン塗料などのも多く取り扱っています。
木製品に塗る塗料なのですが、漆に比べて、安価でまた早く乾くなどの特徴があります。

また京都は元々染色関連の会社が多いのですが、
以前は染色の材料の1つとして漆が接着剤として使われていた為、
現在でも染色に使う漆以外の資材も販売しています。

それと漆器の販売が事業の柱になっています。


――漆器の販売はどういう経緯で始められたのですか?

漆を納品していた漆器屋さんから京都で売ってくれないかという依頼があって、
最初は事務所の玄関先に並べるところから小売をスタートさせました。

今でも実店舗はここにある小売店だけです。
あとは全国の百貨店で開催されている京都物産展に積極的に参加して販売をしています。
一年間に24~5回は参加しています。

併せて最近はホームページを通じてのインターネット販売にも力を入れています。
2007年には京都商工会議所のホームページコンテストで最優秀賞を受賞したのですが、
通常のインターネット販売に加えて、
最近は百貨店の物産展で興味をもってくれた方からネットを通じて問い合わせや注文も増えました。
逆にホームページを見た地方の方が地元の百貨店の物産展に訪れて頂いています。
相乗効果は大きいですね。

何年か前だと物産展に来られるのは50代や60代の方が多く、
インターネットが有効かどうか半信半疑だったのですが、
今はその年代の方でも普通にインターネットを通じて注文を頂くようになっています。

株式会社井助商店HP
京都ホームページコンテスト2007

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Posted by 京の社長と数珠紐 at 12:00Comments(0)株式会社井助商店 沖野俊之