2009年05月13日
「漆黒」とは、独特の艶やかで濃い漆の黒
第17回 株式会社井助商店 代表取締役 沖野俊之 vol.2

――最近は海外のギフトショーにも参加されているそうですね。
はい。(財)京都産業21が主催する、
京都の中小企業が集まったKyoohoo!?(キョフー)という異業種交流会があるのですが、
そこの取り組みの1つとして、工芸関連の会社で
毎年ニューヨークの国際ギフトショーに出展しています。
あまり知られてはいないのですが、実は漆器のことを英語でジャパン(japan)と言います。
実際にはジャパニーズ・ラッカー・ウェアと説明することの方が多いのですが、
それだけ漆は日本に特有のものなのです。
ニューヨークのメトロポリタン美術館へ行くと
日本のコーナーには鎧甲や着物と並んで漆器が多く展示されていました。
木工製品に漆のようなものを塗る文化は欧米にはありません。
中国や東南アジアにあるくらいではないでしょうか。
今年のニューヨーク国際ギフトショーにあわせてKyoohoo!?(キョフー)と京都造形大のコラボレーションとしてサクラ柄の小箱や手鏡を製作しました。
学生さんにはニューヨークで出展するというのとは関係なく、本当に自分らが欲しいものをというコンセプトでデザインを依頼しました。パステル調のかわいい製品ができあがり非常に満足しています。但し、その製品は塗りに漆を使ったものではなく、化学塗料を使っています。
ニューヨークでも売れるものを、と考えているので流通コストも含めて考えると
漆を使うとどうしても高価になり過ぎてしまいます。
今回の企画に関しては最初から化学塗料を使うことを前提にしていました。
また漆でパステル調の色合いを出すことはできません。
漆は黒以外は顔料を混ぜて着色するのですが、
元々無色透明ではないので、淡い色合いは出ないのです。
漆の黒だけは、漆に鉄分を混ぜて「漆黒」と呼ばれる独特の艶やかで濃い黒を出すのです。
――京都の活性化について考えておられることはありますか?
ニューヨークへ行って感じたのですが、
私たちが考えているほどは京都は海外の方に知られていないのではと感じることがありました。
例えば、私もイギリスだとロンドン以外のことはよく知らないですし、
アメリカでも知っている都市の数は限られています。
もっと京都は海外に向けていろいろな情報を発信していくべきだと思います。
今でも海外からたくさんの方が観光に訪れていますが、
京都の持つ魅力の潜在能力を考えると、
もっと海外からの観光客を増やすことができるのではないでしょうか。
京都=日本と言うとおこがましいかも知れませんが、
京都が日本を代表する気持ちで海外に対してもっとアピールする必要はあると思います。
――井助商店の経営理念はどのようなものなのですか?
誠心誠意という言葉を大切にしています。
常に誰に対しても同じように誠意を持って対応するということですね。仕入れさんであっても、大きいお客さんも小さいお客さんも、また社員に対しても、きちんと気持ちを持って分け隔てなく接しないといけないと考えています。
当社は創業180年を超えて地方へ行くとすごい老舗のように言われますが、前回の堀金箔粉さんはまもなく創業300年ですし、京都では特に珍しいものではありません。
ただ100年200年と事業を続けるのは本当にたいへんなことです。
ITバブルの時期を経てみると余計に感じます。
流行に乗ることは大切なのですが、それだけではいけません。
長く続いているところでも、事件や事故があると会社を続けることができなくなってしまいます。
■株式会社井助商店HP
■財団法人 京都産業21HP
■京都造形芸術大学HP
■株式会社井助商店 沖野俊之 【1】 >> 【2】 >> 【3】

――最近は海外のギフトショーにも参加されているそうですね。
はい。(財)京都産業21が主催する、
京都の中小企業が集まったKyoohoo!?(キョフー)という異業種交流会があるのですが、
そこの取り組みの1つとして、工芸関連の会社で
毎年ニューヨークの国際ギフトショーに出展しています。
あまり知られてはいないのですが、実は漆器のことを英語でジャパン(japan)と言います。
実際にはジャパニーズ・ラッカー・ウェアと説明することの方が多いのですが、
それだけ漆は日本に特有のものなのです。
ニューヨークのメトロポリタン美術館へ行くと
日本のコーナーには鎧甲や着物と並んで漆器が多く展示されていました。
木工製品に漆のようなものを塗る文化は欧米にはありません。
中国や東南アジアにあるくらいではないでしょうか。

学生さんにはニューヨークで出展するというのとは関係なく、本当に自分らが欲しいものをというコンセプトでデザインを依頼しました。パステル調のかわいい製品ができあがり非常に満足しています。但し、その製品は塗りに漆を使ったものではなく、化学塗料を使っています。
ニューヨークでも売れるものを、と考えているので流通コストも含めて考えると
漆を使うとどうしても高価になり過ぎてしまいます。
今回の企画に関しては最初から化学塗料を使うことを前提にしていました。
また漆でパステル調の色合いを出すことはできません。
漆は黒以外は顔料を混ぜて着色するのですが、
元々無色透明ではないので、淡い色合いは出ないのです。
漆の黒だけは、漆に鉄分を混ぜて「漆黒」と呼ばれる独特の艶やかで濃い黒を出すのです。
――京都の活性化について考えておられることはありますか?
ニューヨークへ行って感じたのですが、
私たちが考えているほどは京都は海外の方に知られていないのではと感じることがありました。
例えば、私もイギリスだとロンドン以外のことはよく知らないですし、
アメリカでも知っている都市の数は限られています。
もっと京都は海外に向けていろいろな情報を発信していくべきだと思います。
今でも海外からたくさんの方が観光に訪れていますが、
京都の持つ魅力の潜在能力を考えると、
もっと海外からの観光客を増やすことができるのではないでしょうか。
京都=日本と言うとおこがましいかも知れませんが、
京都が日本を代表する気持ちで海外に対してもっとアピールする必要はあると思います。
――井助商店の経営理念はどのようなものなのですか?
常に誰に対しても同じように誠意を持って対応するということですね。仕入れさんであっても、大きいお客さんも小さいお客さんも、また社員に対しても、きちんと気持ちを持って分け隔てなく接しないといけないと考えています。
当社は創業180年を超えて地方へ行くとすごい老舗のように言われますが、前回の堀金箔粉さんはまもなく創業300年ですし、京都では特に珍しいものではありません。
ただ100年200年と事業を続けるのは本当にたいへんなことです。
ITバブルの時期を経てみると余計に感じます。
流行に乗ることは大切なのですが、それだけではいけません。
長く続いているところでも、事件や事故があると会社を続けることができなくなってしまいます。
■株式会社井助商店HP
■財団法人 京都産業21HP
■京都造形芸術大学HP
■株式会社井助商店 沖野俊之 【1】 >> 【2】 >> 【3】