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2008年12月12日

世界のなかで弊社が踊れる踊り場を見つけました。

第13回 株式会社三才 専務取締役 斉藤上太郎 vol.2

――さきほど着姿を重視して着物をデザインしているという話しがあったのですが、他に大切にしていることはありますか?

世界のなかで弊社が踊れる踊り場を見つけました。昔から「なんで着物を着ないんですか?」といったアンケートをすると、たいがい高いから、着られないから、着る場所がないからという答えが集まるのですが、そうではないと思うのです。

実際、今の日本の女性は美しくなるために月に十万くらい化粧品にお金をかけている方がたくさんいらっしゃいますし、スタイルがよくみえる何十万もするボディスーツや、足首が細くみえる5万円のパンストがよく売れたりしています。

やっぱりステキな着物を作らないと。「あのひとは洋服もステキやけど和服姿もステキやねぇ、私も和ダンスをあけてみようかな」と思わせたり、生活のリズムのなかで和の心を楽しむようなスタイルを提案していかないといけないと思います。ステキということがなにより説得力があって、そのために何をすべきなのかは常に考えています。



日本に古くから脈々と繋がる文化や技術は世界から非常にリスペクトされています。京都にいるとなかなかわからないのですが、外に出て客観的にみるとこんなにすごいことはなくて、今でも日常的にその国の伝統的な衣装を着る先進国は日本以外に見当たりません。少なくはなっているのですが、現在も着物で生活をされている方が大勢いらっしゃいます。世界の片田舎の島国で、独自の文化ができあがり、それが残っているということは実はすごいことなのです。

世界のなかで弊社が踊れる踊り場を見つけました。日本の侘びさびや禅スタイルについては昔からジャポニズムとして、尊敬されていました。また近年はゲームやアニメ、コスプレを通じて、また日本マニアが増えてきていますが、それとは別にその文化の奥や背景を知りたい、取り入れたいという強い欲求があって、そのときに京都のほんものに頼みたいと言われることが多いです。

だから私は今の日本っぽいものではなく、これからの新しいジャポニズムを作りたいと思っています。着物はもちろんインテリアもこれまであったものの焼き直しではなく、新しいジャポニズムスタイルの暮らしや、空間を提案していきたいですね。

文化や伝統を継承することはもちろん大切なことですが、それだけではなく今の感覚なり、時代性を取り入れ次の世代の禅スタイルや侘びさび、次ぎの世代につながる新しいジャポニズムスタイルの提案ができるのは京都では私のところだけだという自負はあります。だからそれを追求しようと思うし、それの一番になりたいと思っています。              

※写真は「2008 Collection GOTHIC CAMELLIA」より


――「和を楽しむライフスタイルを提案したい」という理念に繋がると思うのですが、着物だけでなく、インテリアなどさまざまなデザインにも手がけられていますね。

インテリアなど、着物以外のことに取り組みはじめて4年目になります。
当時は古いマンションをホテルにリノベーションすることがはやった時期で、
そのホテルのロビーに置くソファに着物を張りたいという依頼がありました。

昔から西陣織を椅子に張ったりとか、
きれいな帯地をつかってランプシェードをつくったりしたらという発想はありました。
ただ、そういう織りや着物は基本的に工芸品なので、
朝から晩まで一日中、電気の明かりにさらされて、
色やけしたり、色がとんでしまうかも知れません。
それに西陣織が帯に向いていても、椅子にしたときに強度はどうなるのかという問題もありました。

最初は「高くつきますし、やれいわれたらやりますけどねえ」という返事しかできなかったのですが、
偶然そういう依頼がぽんぽんとふたつ続いて、本気で取り組んでみる気になりました。

まずはシルクをポリエステルに全部かえるところからはじめました。
糸の素材をかえるだけでも、織る際に静電気が起こって
糸がプチプチきれやすくなるなど、様々な問題が発生しました。
生地の強度についても、最初をどのあたりを基準にすればいいのかわかりませんでした。
ちょうどそのとき高級なイタリアの椅子のメーカーさんから、コラボしないかという話しがあって、
生地の強度についての基準をいただいたのです。
試行錯誤を重ねた結果、一回目に完成した生地にそこそこ強度があり、
クオリティの高いものをつくることができました。
これまでにない特殊な織物を使うことにより、
インテリアの分野にもデザインの幅を広げることが可能になりました。

世界のなかで弊社が踊れる踊り場を見つけました。
「SOFA Collaborated with ROCKSTONE」

新しい生地をもとに、直接いろんなところへ販売したいと考えて、
まあ右も左もわからない状態で、ある見本市に出展しました。
開催者もHPをみたら着物しかないですけど、
何を出展されるのですかと問い合わせがあったくらいでした。

でも、見本市に出ることによって、世界の名だたるメーカーと
京都のいちメーカーが同じ立場にたつことができました。
視察だけではやはりわからない部分があって、出展し、横並びになることで、
ここがあかんのやなあとか、他にはない弊社の特徴を確認するなど、
いろいろな意見を頂くことにより、これまでにない見方のも発見がありました。
なにより世界の服飾・テキスタイルのなかで
弊社が踊れる踊り場がちゃんとあると理解できました。

二回目以降はもっとかしこくなって、狙いを定めて出展することにより、
お客さまに仕事をいただくようになりました。ずいぶんお金はかかったのですが・・・(笑)。


■株式会社三才HP
■斉藤上太郎HP

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Posted by 京の社長と数珠紐 at 12:00│Comments(0)株式会社三才 斉藤上太郎
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