2008年03月05日
「こころをつくる」が経営理念です。
第3回 株式会社吉田治市商店 吉田光宏社長

ダイイチ株式会社の熊谷貴夫社長からレゲエ好きのおもしろいおっちゃんと
紹介を頂いたのは株式会社吉田治市商店の吉田光宏社長です。
株式会社吉田治市商店は京都の伝統産業とも深い関わりのある京仏具メーカーです。
――仏具のメーカーということですが、どういうものを作っているのですか?
仏教の儀式で使う道具全般に製作しているのですが、
当社は特に寺院荘厳具(じいんしょうごんぐ)と呼ばれる
寺院の装飾に使われる道具の製作が強いですね。
でもメーカーといっても、工場があって、そこで仏具を作っているわけではありません。
昔から京都の仏具製造は分業制になっています。
ひとつの仏具が制作される過程で多くの伝統産業などの職人さんの手を経ることになります。
たとえば前机というお寺のご本堂に置く机を作る工程には、
まず木地師といって木で形を造る方がいます。
彫刻を施す部分はまた別のひとが造ります。
形が造られた机に漆を塗るひともいます。
漆を磨き上げて光沢を出すのはまた別のひとです。
金箔を貼るひと、錺金具をつくるひと、蒔絵を施すひと、彩色を施すひと…。
それぞれの工程はすべて違う専門職の方がいます。
――お寺のものはオーダーメイドになるのですか?
当社は寺院などから発注を受けた仏具店から製造の注文をいただき、
設計したものをそれぞれ専門の方に発注し、その施工を管理し、
製品が仕上がるまでのプロデュースをしているのです。
お寺さんは宗派も違えば、大きさも違います。
同じ仏具でも宗派によってその仕様が異なるものもあります。
京都は伝統産業に携わる職人さんが多く、技術水準も非常に高いです。
その分、コストも高くなるのですが、
海外の工場などで大量生産される規格品とは品質がやっぱり違いますね。
技術力の高い専門の職人の方をつかって
価値のある仏具を作っているという自負はもっていますね。
――仏具業界も景気に左右されるものなのですか?
今は業界全体として景気は厳しいですね。
大きな理由がふたつあります。
まず信仰の形態がかわり、宗教心が薄れてきたということです。
住宅事情の変化もあって、仏間どころか畳のある部屋すらない家庭があります。
もうひとつの理由はやはり景気に拠るものです。
お寺というものは基本的に寄付からなりたっています。
世の中のお金がまわっていない時期にはやはり寄付の額は少なくなります。
景気の問題はともかく宗教心に関しては、
業界全体で取り組んでいかなければならないことだと思っています。
当社でも「こころをつくる」ということを経営の理念としています。
二十一世紀の仏匠として、日本の文化を伝承し、日本の伝統工芸を後世に伝え、
日本人のこころを少しずつでも豊かにしていくことが使命だと思っています。
■株式会社吉田治市商店 吉田光宏 【1】 >> 【2】 >> 【3】

ダイイチ株式会社の熊谷貴夫社長からレゲエ好きのおもしろいおっちゃんと
紹介を頂いたのは株式会社吉田治市商店の吉田光宏社長です。
株式会社吉田治市商店は京都の伝統産業とも深い関わりのある京仏具メーカーです。
――仏具のメーカーということですが、どういうものを作っているのですか?
仏教の儀式で使う道具全般に製作しているのですが、
当社は特に寺院荘厳具(じいんしょうごんぐ)と呼ばれる
寺院の装飾に使われる道具の製作が強いですね。
でもメーカーといっても、工場があって、そこで仏具を作っているわけではありません。
昔から京都の仏具製造は分業制になっています。
ひとつの仏具が制作される過程で多くの伝統産業などの職人さんの手を経ることになります。
たとえば前机というお寺のご本堂に置く机を作る工程には、
まず木地師といって木で形を造る方がいます。
彫刻を施す部分はまた別のひとが造ります。
形が造られた机に漆を塗るひともいます。
漆を磨き上げて光沢を出すのはまた別のひとです。
金箔を貼るひと、錺金具をつくるひと、蒔絵を施すひと、彩色を施すひと…。
それぞれの工程はすべて違う専門職の方がいます。
――お寺のものはオーダーメイドになるのですか?
当社は寺院などから発注を受けた仏具店から製造の注文をいただき、
設計したものをそれぞれ専門の方に発注し、その施工を管理し、
製品が仕上がるまでのプロデュースをしているのです。
お寺さんは宗派も違えば、大きさも違います。
同じ仏具でも宗派によってその仕様が異なるものもあります。
京都は伝統産業に携わる職人さんが多く、技術水準も非常に高いです。
その分、コストも高くなるのですが、
海外の工場などで大量生産される規格品とは品質がやっぱり違いますね。
技術力の高い専門の職人の方をつかって
価値のある仏具を作っているという自負はもっていますね。
――仏具業界も景気に左右されるものなのですか?
今は業界全体として景気は厳しいですね。
大きな理由がふたつあります。
まず信仰の形態がかわり、宗教心が薄れてきたということです。
住宅事情の変化もあって、仏間どころか畳のある部屋すらない家庭があります。
もうひとつの理由はやはり景気に拠るものです。
お寺というものは基本的に寄付からなりたっています。
世の中のお金がまわっていない時期にはやはり寄付の額は少なくなります。
景気の問題はともかく宗教心に関しては、
業界全体で取り組んでいかなければならないことだと思っています。
当社でも「こころをつくる」ということを経営の理念としています。
二十一世紀の仏匠として、日本の文化を伝承し、日本の伝統工芸を後世に伝え、
日本人のこころを少しずつでも豊かにしていくことが使命だと思っています。
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