2008年03月06日
「奮闘努力」「I&I」、そして「時流独創」
――吉田治市商店の3代目社長とうかがったのですが?
当社は祖父が昭和8年に創業した会社です。
実は祖父は京都の出身ではなく、
もとは名古屋の農家の五男でした。
わりと大きな農地を持っていたらしいのですが、
祖父の父の代に相場で失敗して、
祖父は小学校5年のときに
京都の仏具屋に丁稚奉公に出されました。
ところがそのお店も世界恐慌のときに相場で失敗したのです。
そのお店で勤めていてもこれ以上給料はあがらないよと言われ、28歳になっていた祖父は「男としてこのままでは終われない」と思い自分で商売をしようと決意しました。
寺町四条の地で創業したときに
「奮闘努力」という額を掲げて商売を始めました。
「奮闘努力」という創業の精神を忘れてはいけないと、
今でもその額を社内に飾っています。
祖父が起こした会社を長男だった父が受け継ぎ、私は長男だったので、学生時分からこの会社を自分が継ぐということは意識していましたし、それが自然なことだと思っていました。
大学を卒業したときは業界最大手で上場もしている株式会社はせがわに就職しました。
関東の店舗で3年ほど勤めた後、平成元年に京都に戻ってきました。
それから約20年、昨年の7月に3代目として社長に就任しました。
――経営テーマの「I&I Corporation」というのはどういう意味ですか?
一般的に私たちという言葉は英語で(WE)と表されます。
私たち=私(I)とあなた(YOU)という意味です。
しかし(I&I)といったときには私(I)とあなた(I)の違いは存在しません。
私(I)とあなた(I)はあくまで同じなのです。
私はレゲエが好きで、特にボブ・マーリーをよく聴き、ジャマイカにも行きました。
レゲエミュージック、レゲエミュージシャンにはラスタファリズムという思想があって、
彼らが私たちというときに(I&I)と言うのです。
「WE LOVE REGGAE MUSIC」ではなく
「I&I LOVE REGGAE MUSIC」という風に・・・。
私とあなたが同じ立場で区別がないという思想は
仏教の説く「自利利他」の教えにも繋がります。
私とあなたが同じであるということ、
私とあなたは仕事を為す上での責任という点でもまったく同等なのです。
社員同士はもちろん、お得意先、仕入れ先に対しても
この(I&I)という気持ちを忘れてはなりません。
それは単にみんなが仲良くということではなく、ひとりひとりが会社の方針、
目標を十分に理解し、個人におけるその責任を全うしなければならないということです。
その為に自分自身をよく整えることから始めねばならないのです。
――経営ビジョンとして挙げられている「時流独創経営」というのは?
「時流独創」とは哲学者の芳村思風さんの理念で
「ときの流れに流されるのではなく、自らときの流れをつくる気概をもつ。」ということです。
「十年先はこう成るではなく、十年先はこう在らねばならない」、
と主体的な意志によって生きるのでなければなりません。
先にも言ったように住宅事情や信仰心の問題もあって業界は厳しいです。
より安価で今の生活にあった仏具が求められています。
それはときの流れかもしれませんが、仏具の持つ本来の姿を忘れてはいけません。
小さなことからしかできないのかも知れませんが、本来あるべき姿を見失わず、
ときの流れを自分でつくるという気持ちが大切なのです。
■株式会社はせがわ HP
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